ローテクのススメ・・・伸ばしランナー 

 いつの間にか季節は秋・・・チマチマ工作には持って来いの季節となりましたが如何お過ごしでしょうか?
最近あるキットのディテールアップを試みていて、どうしても極細のC型断面のパーツが欲しくなり、試行錯誤の結果ある程度満足の行く製作方法にたどり着いたので御紹介いたします。
 エッチングや真鍮線、真鍮パイプ全盛の時代に、いまさら伸ばしランナーなんて?って思いますが、どうしてなかなか侮れないモノがありますよ(笑)
 ●断面の素材は各種・太さもそこそこ選べますが、角断面やその他の形状は探してもなかなか無く、今まで私は板状や●状に省略した形で表現してきました。
 今回の様な方法で、キャノピーレールや脚部のディテールアップ、各所ルーバー状のモールド等、かなり応用は効くのでは無いかと思います。

画像クリックで拡大します  
 ハウツー本等で伸ばしランナーの技法は紹介されていますし、角断面なら角断面を保ったまま伸びる特性も多くの方が御存知でしょう。
 ただ、今回タミヤの角棒を伸ばしてみましたが均一形状で伸びず、ちぎれたりしてあまり具合が良くなかったので、あれこれ試しているうちに、エバーグリーンのプラ材を接着して伸ばせばオリジナルの断面形状の伸ばしランナーが出来ないか?
・・・とダメもとで試したら思いの外上手く出来たので大喜びした次第です。

 エバーグリーンからは非常にバリエーション豊かなプラ材が発売されていますが、そのアイテムの多さゆえに在庫が全種揃っているお店はなかなか無く、主要な板材しか置いてない店がほとんどでは無いでしょうか?
 今回も必要だった一番細目のCチャンネル材が何処にも売っていなかったので、0.25×1mm幅のストリップを3本組み合わせてC型断面の部材を作りました。
 拡大画像です。ピンセットと流し込み接着あ剤は必須ですね。
両面テープかマスキングテープの糊面上で接着するときちっとした形状にしやすいです。
 接着剤が乾いたらテープをはがし、裏面からも念のため接着剤を塗っておいたほうが良いでしょう。

乾燥後、回転させながらローソクで一箇所を炙り、くにゃくにゃに柔らかくなったところで火から離し、一呼吸置いて両側に引っ張ると断面形状を保ったまま細くなります。
 コツとしては燃えない程度に(笑)充分熱することと、引っ張るときは均一のスピードで引っ張ることでしょうか?
途中で太さをコントロールしようとして引っ張る速度を変えると失敗します。

ゆっくり引っ張りながら希望の細さになったところで止め、冷えるまでしばし動かずに待っていることが大切です。
 まあ、簡単ですので2.3回やってみれば簡単にコツは飲み込めると思います。
あまり伸ばすと肉眼で形状が確認できないくらい細くなるので意味がありません。

 左の画像の物は幅約0.4mmのレール状パーツです。伸ばす前は幅約1.5mmでしたので1/3程度の細さになったわけです。
一度熱したため部品同士も溶着して強度的にも問題無い仕上がりになりました。
こんなモールドはエッチングでやろうとしても、ごく一部の凄腕モデラーの方しか作れないのではないでしょうか?

 調子に乗って応用編です。
エバーグリーンの2.5mmのH鋼を3本並列に接着して伸ばしてみます。
もっと細いH鋼が手に入れば良かったのですが、均一に熱するにはこの位の幅が限界ではないでしょうか?
・・・で、伸ばしたのがこれです。
元がH形状なので当然裏面も同じモールドになってます。
必要かどうかはともかくとして・・・(笑)
ちょっとしたスリットやルーバー状の部分に応用できるのではないでしょうか?

エッチングと違って普通の接着剤でがっちりくっつくし、何よりもオリジナルのパーツが作れるって事が嬉しくありませんか?
 こうして作ったパーツをさらに組み合わせてまた伸ばせばそれこそ何でも製作可能!・・・ってやってると完成しなくなるので程々にしましょう。
 


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